カトラ(katra)とはヴァルカン人の生きた魂であり、死の直前に他の者へ写すことが出来る。
歴史[]
22世紀中頃までカトラの存在は一般的には認められていなかった。古代のヴァルカン人がカトラの聖櫃にカトラを保存したという伝説はあったが、多くのヴァルカン人は神話に過ぎないと考えていた。そういった聖櫃のいくつかは数世紀前にプジェムの修道院で発見されていたものの、保存されているというカトラは検知されなかった。分析に携わったヴァルカンの科学者らの中には聖櫃に精神融合を試みた者までいたという。
しかしシラナイトという少数派はカトラの存在を信じており、リーダーのシランはスラクのカトラを自身の中に保存していた。2154年、スラクのカトラはシランからジョナサン・アーチャー大佐を介してヴァルカン人司祭に写され、その存在が公になった。
スラクのカトラが発見されたことは、トゥパウの台頭やそれに続くヴァルカンの政権交代において大きな役割を果たした。(ENT: 狙われた地球大使館、陰謀の嵐、バルカンの夜明け)
2369年頃にはカトラの存在は医学界で周知の事実となっていた。(DS9: 宇宙囚人"バンティカ")
手順[]
カトラの転写は、片手の指を相手の顔の決まった点に当てて行う。「忘れるな(ヴァルカン語ではヴォカウ)」と言葉を発する場合もある。カトラの転写は通常は行われるようなことではなく、特別な状況下でのみ行われる。(ENT: 狙われた地球大使館、スタートレック2:カーンの逆襲、VOY: 怯える子供達)
カトラを写された者はそのカトラの主の経験から恩恵を得る。ヴァルカン人は精神融合を行うことによってその人物にカトラが移されているかどうかを知ることが出来る。カトラを受けたのが地球人であった場合、副作用として多重人格のような振る舞いを経験する場合がある。そのような影響はlexorinという薬で短期間だけ和らげることが出来るが、最終的には他の誰かに移されなければならない。(ENT: 陰謀の嵐、スタートレック3:ミスター・スポックを探せ)
カトラを取り出す際には神経系に深刻な衝撃が加わるため、特に地球人は危険である。カトラをヴァルカン人に移し替えるには、カトラの経験を十分に持ったヴァルカン人司祭が決まった儀式に従って行うのが好ましい。(ENT: 陰謀の嵐)
誰かに写されたカトラが取り出されるのは、主が死んでその家族が同意したときである。そのための儀式が「ファル・トア・パン」と呼ばれるもので、意味は「再融合」である。この儀式が行われるのは非常に稀である。(スタートレック3:ミスター・スポックを探せ)
カトラの例[]
- 2154年、シランは自分の中に保存していたスラクのカトラを死の直前にアーチャー大佐に移した。4日後にカトラはヴァルカン人司祭に移された。[1](ENT: 狙われた地球大使館、陰謀の嵐、バルカンの夜明け)
- 2285年、スポックは放射線の危険がある部屋へ入る前にドクター・マッコイに自分のカトラを写した。[2]放射線に汚染されてスポックは死亡したが、ジェネシスに着陸した遺体は再生した。父サレクの要請により、ヴァルカン星のセレヤ山でファル・トア・パンがトゥラーによって行われ、ドクター・マッコイが預かっていたスポックのカトラは新しい身体と再融合した。(スタートレック2:カーンの逆襲、スタートレック3:ミスター・スポックを探せ)