フォース・フィールド(Force field)とは日本語では力場とも呼ばれる、局所的に作られる素粒子等のエネルギーや質量を持つ物質の力場(界とも呼ばれる)で作られた
壁である。ワープ・フィールドも亜空間の場を応用したもので、ディフレクター・シールドは重力の場を用いたものである。
フォース・フィールドは宇宙艦にとってなくてはならない技術であり、様々な用途に応用され、用途によって多様な強度のレベルがある。フォースフィールドは地球の宇宙艦隊では2147年に研究が始まったが粒子密度の安定化などの問題で実用化されるまで長い年月が掛かった。(ENT: 漂流生命体の叫び)
概要[]
24世紀の宇宙艦隊ではフォースフィールドは一般的になっており、強度はレベル1-10の範囲の等級で表されレベル10のフォースフィールドが最も強い。
使用される例としては結果が予測不明のまたは既知の爆発性の科学実験等をするときに、周囲に被害が及ばないように、実験現場を密閉する。また拘束室においては、鉄格子ではなくフォースフィールドの壁を用いる。またホログラムは光子とフォースフィールドで作った「触れる」立体映像である。
「緊急フォースフィールド」というものもあり、船がダメージを受けて外部隔壁が裂けて、宇宙に船内が剥きだしになってしまった場合、外部隔壁に埋め込まれたフォースフィールド・エミッタが、応急的なフォースフィールドの隔壁を作って船体の穴を埋める。(TNG: プラズマ放電の謎、究極のコレクション、DS9: ディファイアントの危機、VOY: 時空侵略戦争・後編、スタートレック:ジェネレーションズ、スタートレック:ネメシス)
フォースフィールドはハイレベルになるほど触れたときの衝撃力が大きい。僅かに触れただけで死に至る場合もあり、直接触れるのは危険である。いくつかのドミニオン等の文明では致死性のフォースフィールドが好まれる場合もある。
フォースフィールドはシールドと同じく、稼動していれば転送ビームを通すことはない。ボーグは、たとえ宇宙艦隊のフォースフィールドでもドローン個体の適応シールドによってフォースフィールド周波数をわずかな時間で適応し、フォースフィールドの隔壁で止めることができない場合が多い。しかし触れただけで強い衝撃力で跳ね返されるようなレベル10のフォースフィールドで囲むと、ボーグ・ドローンは身動きできず、ボーグ集合体から切り離されてしまう。(DS9: 新たなる脅威、TNG: ボーグ"ナンバー・スリー")
フォースフィールドは様々な環境で稼動でき、宇宙艦隊の宇宙艦は様々なジャンクションや通路にフォースフィールドエミッタが設置してある。艦隊士官はコンピュータに命令するだけで、船内の様々な場所にフォースフィールドを起動できる。たとえば侵入者、もしくは重要人物のいる通路をフォースフィールドで密閉し、保護することができる。
宇宙暦44085.7、データ少佐は素晴らしい技術を用いてUSSエンタープライズのコントロールを奪った。彼は他の技術も実行してコンピュータにスキャン装置やフォースフィールドの稼動を伴う指示をした。通路の短い距離でフォースフィールドを動かし、保安チームを強制的に引き返させた。(TNG: 永遠の絆、ボーグ"ナンバー・スリー")
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ヒューマノイドの体が起動中のフォースフィールドに触れたままになると、第二度の熱傷を負うことになる。(DS9: 暴徒制圧モード始動)
転送装置を使う際にも、転送する物質が毒性の高い気体や放射能を伴う場合などには、転送台のまわりをフォースフィールドで覆って隔離する。また、異星人や囚人の転送などを行う際にもフォースフィールドが使われる。(TNG: プラズマ放電の謎)
様々な用法[]
抑制フィールド[]
ある場所やある機器を密閉、保護するフォースフィールドを抑制フィールドという。
ワープ抑制フィールドは特別に調節された強力なフォースフィールドで、物質あるいは反物質が漏れる事を防いでいる。
抑制フィールドは貨物室やシャトルベイの扉を開けた時に船内と宇宙の間に張られ、気圧を維持する。シャトルクラフトが通過するときは、シャトルのシールドとフォースフィールドの周波数を同調させて、すり抜けさせる。
不幸にもUSSヤマト(NCC-71807)の18人の機関部員がシャトルベイの抑制フィールドが発生しなかった為に死亡した。作動しなかった原因は、艦がアイコニアのコンピュータ・ウィルスに感染した事だった。(TNG: 埋もれた文明)
抑制フィールドは宇宙艦隊では調査地域の隔離にも使われており、例えば転送室にサンプルを転送する為に転送台を隔離することがある。(VOY: Q1、Q2)
抑制フィールドは反物質抑制の補強に用いられるが恒星級のパワーを持つワープ・コアの崩壊を直接止めることはできない。2369年にデータ少佐はUSSエンタープライズDのワープ・コアの周囲にレベル3の抑制フィールドを発生させコアの亀裂を塞いで破滅を防いだ。(TNG: 時空歪曲地帯) 2379年に標準の手順でUSSエンタープライズEのワープ・コアを戦いの前に高レベルのフォースフィールドで補強した。(スタートレック:ネメシス)
慣性制動機と構造維持[]
宇宙艦やシャトルはワープ・ドライブにおいて船体に強い負荷がかかるため、構造維持フィールドと呼ばれる強化されたフォースフィールドで船体骨格を補強する。
また特にインパルス推進において、宇宙艦はクルーを慣性の法則から守るために、慣性制動システムを稼動させる。これは可変対称のフォースフィールドがネットワーク状に構成し、恒星間航行による慣性効果に対して絶え間なく適応と相殺を行う。このシステムがないと、クルーは艦が少し速度を緩めただけで艦内隔壁に激突して死傷する。
同システムはほぼ全てを船のコンピュータがコントロールしており、エンジンから生じる力を予想してフォースフィールドの形状を瞬時に最適な状態に変更している。(Star Trek: The Next Generation Technical Manual) 2366年にUSSエンタープライズDはメンサーの罠から一瞬だけ通常エンジンを最大にして脱出を試みた時、ウィリアム・T・ライカー中佐はクルーに慣性制動機が充分には素早く反応せず加速による力を相殺できないかもしれないと警告した。(TNG: メンサー星人の罠) また慣性制動システムの発生装置が停止または不調の場合、予備の発生装置をすぐに稼動させ船とクルーにダメージが及ぶのを防ぐ。(TNG: ラクサナの結婚)
緊急フォースフィールド[]
船体が激しく傷つき、外部隔壁が裂けてしまった場合には、緊急用フォースフィールドが自動的に発生して、デッキ内の大気の減圧などの損傷箇所への宇宙空間からの影響を防ぐ。船同士の戦闘などの危機的状況では船の破壊に繋がる亀裂やセクションをメイン防護フォースフィールドが塞ぐ。この技術のおかげで命を救われた艦隊士官は数多いが、緊急フォース・フィールドが作動するまでには数秒の時間が必要であるため、隔壁が裂けた瞬間に壁際にいたり、踏ん張れなかった者などは、助からないことがある。
2293年、USSエンタープライズBがネクサスと呼ばれるエネルギーリボンに遭遇した時ジェイムズ・T・カーク大佐は宇宙空間に放出されて行方不明となった。(スタートレック:ジェネレーションズ) 2379年にUSSエンタープライズEに乗艦していたブランソン大尉はレムス人のシミターに破壊されたブリッジ前方のビュースクリーンから緊急用フォースフィールドが稼動する前に宇宙空間に放り出されて、命を失ってしまった。(スタートレック:ネメシス)
また緊急フォースフィールドといっても万能ではない。宇宙暦49263.5、ベンジャミン・シスコ大佐指揮下のUSSディファイアントはJクラスガス惑星の大気圏を10,000km/時の風を受けながら降下した。この状況では緊急用フォースフィールドは船体損傷による減圧に数分程しか耐えられなかったという。(DS9: ディファイアントの危機)
ディフレクター・シールド[]
- 参照:ディフレクター・シールド
宇宙基地や宇宙艦、シャトルクラフト、その他特殊なミサイル兵器は大抵の場合、外部フォースフィールド・エミッタが装備されており、その周囲にディフレクター・シールドと呼ばれる強力な重力の力場を発生させる。(VOY: 惑星破壊ミサイル、乗っ取られたドクター)シールドは形状を変えることができ、船の周囲を広範囲に包み込む。(TNG: 亡命者)
防御シールドを貫き通すには二つの方法があり、最も常套手段なのはシールドをエネルギー兵器で攻撃して無力化する方法、もう一つはシールドの周波数に合わせて兵器を使う方法である。(スタートレック:ジェネレーションズ)クロノトン魚雷は通常のシールドでは止める事が出来ない為、時間シールドを使える様に変更が必要である。(VOY: 時空侵略戦争・前編)
惑星連邦のその他のフォースフィールド[]
ホロデッキはフォースフィールドを応用して光子を維持してホログラムを作り、本物の物質や固体を構成して人々に現実の様に感じさせる事が出来る。このフォースフィールドは専用のエミッタを用いている為ホロデッキの外ではホログラムを維持出来ない。
医療室でのフォースフィールドはクルーを患者と隔てて病気が感染するのを防いだり、患者が特定の環境で生存している場合はフォースフィールド内に環境を再現している。(TNG: 永遠の絆、VOY: 限界速度ワープ10、人を呼ぶ流動生命体)
フォースフィールドを用いた緊急用医療ホログラムや緊急用司令ホログラム、マークI型労働者は、ヒューマノイドを模倣してツールを操作し手動でコンピューターにアクセスしたり、社交が行える様になっている。
フォースフィールドを地球人、クリンゴン、カーデシア等の様々な種族は囚人の収容に使っている。カーデシアは環状のフォースフィールドを作る技術があり侵入者を天井から床まで囲む事が出来る。しかしながらドミニオンのジェムハダーとファーストコンタクトした時、ジェムハダーのタラクタランはフォースフィールドを容易く通り抜けた。2366年に連邦は同様な技術をUSSエンタープライズDのブリッジで使用した。(DS9: 新たなる脅威、TNG: 姿なき誘拐犯)
連邦のエルバ2号星精神病院やタンタロス植民星等の流刑植民地では脱走を防ぐ為フォースフィールドが使われている。(TOS: 宇宙の精神病院、悪魔島から来た狂人)
2373年、USSディファイアントのブリッジにホロプロジェクションシステムが搭載されコミュニケーションシステムに繋がれ相手の姿を作り会話が出来る様になった。しかしこのホロプロジェクションは非凝集性で人々はホログラムに触れたりして交流する事が出来ない。(DS9: エディングトンの逆襲) 宇宙ステーションディープ・スペース・9のオプス・コンソールに隣接した司令官オフィスのホロプロジェクターは法務総監のホログラムを表した。(DS9: ジュリアンの秘密)
2260年代末から2270年代に掛けて、ライフ・サポート・ベルトとして知られる装置が宇宙艦隊の艦船に搭載された、これは個人用のフォースフィールドで大気を供給して、真空の宇宙空間から保護している。(TAS: 宇宙幽霊船の謎、 過去から来た新兵器) 同様の技術は2369年にジャン=リュック・ピカード大佐とデータ、ディアナ・トロイ、ジョーディ・ラフォージが、緊急用転送バンドが使い亜空間分離フィールドを作りそれぞれを亜空間のポケットで包み込んだ。この分離フィールドはUSSエンタープライズDの影響を受けて時間分裂効果が現れた。(TNG: 時空歪曲地帯)
非宇宙艦隊のフォースフィールド[]
2154年エンタープライズ(NX-01)はイリリア船とアザティ・プライム星系付近で遭遇した。この小型船にはワープ・コイルの周囲をフォースフィールドが覆っておりチャールズ・タッカー三世中佐は簡単には移動出来なかった。(ENT: 球体創造者)
2267年ポルックス4号星のアポロは進んだフォースフィールド技術を使って巨大な手を作り宇宙空間でUSSエンタープライズを捕らえた。このフォースフィールド綿密に計算した周波数のM放射線で貫けた。(TOS: 神との対決)
2346年のキトマーコロニーには攻撃からコロニーを守る為のフォースフィールドがあり、キトマー大虐殺を逃れたクリンゴンの裏切り者ジャロッドはロミュランにコロニーを覆うフォースフィールドのコードを教えた。(TNG: 汚名~クリンゴン戦士として~)
2364年にQは非常に強力なフォースフィールドを作り出してUSSエンタープライズD内の通路を阻んだ。(TNG: 死のゲーム・TNG)
2364年USSエンタープライズDは惑星アルデアを再発見した。アルデア人は惑星を強力な遮蔽装置とディフレクター・シールドで覆っていた。(TNG: 死に急ぐ惑星アルデア)
USSエンタープライズ(NCC-1701-D)のクルーは惑星ミノスの兵器エコー・パパ607に遭遇した。兵器は特殊な武器があり標的をフォースフィールド・バブルで包み込む事が出来る。(TNG: 生き返った死の宇宙商人)
2367年ピカード大佐はウェスリー・クラッシャー少尉と民間シャトルの船長ダーゴは、ランダ・パズでフォースフィールドに囲まれた泉を発見した。(TNG: ファイナル・ミッション~新たなる旅立ち~)
2371年トリアン・ソラン博士は50ギガワット程の高パワーのフォースフィールドを用いて、ジャン=リュック・ピカード大佐から彼と彼の恒星破壊兵器を保護した。(スタートレック:ジェネレーションズ)
ボーグドローンは進んだ個人用の防御フォースフィールドを利用している。ボーグのフォースフィールドは宇宙服無しでも宇宙空間で長期間活動できる。(VOY: 新生ボーグの悲劇)
ドミニオンのフォースフィールドは連邦と比べて目で見る事が出来、強固で触れると死に至る危険がある、ベンジャミン・シスコ中佐とクワークはジェイク・シスコとノーグと共にキャンプに訪れた時誘拐されドミニオンのフォースフィールドに捕らわれた。チーフマイルズ・オブライエンとドクタージュリアン・ベシアは同様のフォースフィールドでジェムハダーの反乱グループに人質、囚人として捕まった。(DS9: 新たなる脅威、苦悩するジェム・ハダー)
2371年USSヴォイジャーのクルーはヴィディア人と遭遇した。ヴィディアは広範囲のフォースフィールドで侵入者から地下の土台を隠した。このフォースフィールドで錯覚を起こさせて固体の岩石だとトリコーダーと肉眼を騙した。(VOY: 盗まれた臓器、二人のトレス)
カーデシア人のシララン・プリンはキラ・ネリスを短い間捕らえ個人用のフォースフィールドで移動を防いでいた。(DS9: 一人、また一人、そして…)
2373年ブリーンの開発した手持ち兵器のCRM114は、4.6ギガジュールのフォースフィールドを突破出来る。(DS9: 武器を売る者)