(制作視点での記事)
光るめだま | |
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制作順No. | 6149-02 |
本国初放映 | 1966年9月22日、第3話 |
脚本 | サミュエル・A・ピープルズ |
監督 | ジェームズ・ゴールドストーン |
宇宙暦/西暦 | 1312.4/2265年 |
ゲイリー・ミッチェルが銀河の外縁部で超能力な念動力者に変身し、エンタープライズだけでなく人類全体にも対する脅威となると、カーク船長は旧友のミッチェルに直面しなくてはならない。
エピソード概要[]
プロローグ[]
- 『艦長日誌 宇宙暦1312.4。考えられないことが起こった。200年以上も昔に行方不明となった、宇宙船の遭難信号をキャッチしたのだ。200年も昔に我々と同じく探検飛行に飛び立とうとしたのか。一体何があったのだろう。これは、後から来る者に対する何かの警告なのか。』
カーク船長とスポックはエンタープライズのブリーフィングルームで立体チェスをしていた。スポックは後一手でキングを詰めると警告していたが、ブリッジからの遭難信号をキャッチしたとの報告を待っていたカークはスポックの話を無視した。カークはスポックのチェスはイライラだと言い、スポックは「『イライラ』?ああ、そうか。地球人の感情ですね。」と返事していた。カークはスポックが予測していなかった駒を動かした。「ほんとにどういう意味か知らないのか。」カークはニヤニヤしながら言った。スポックは先祖が地球の女性と結婚したのに…と指摘し始めるが、カークは中断し、大変な間違いだったかという冗談を言った。その途端にブリッジから通信が入った。リー・ケルソー大尉は目標がトラクター・ビームの範囲内に入ったことを報告し、またその物体が直径はわずか1メートルなので、宇宙船にしては小さ過ぎるとも述べた。カークは目標を本艦へ拾い上げるように命令し、スポックと一緒に出かけた。
転送室では、モンゴメリー・スコットは、目標を転送収容するように機器調整をしていた。カークの命令でスコットは装置を転送室へ転送した。カークはそれが緊急時に宇宙船から切り離す古い形式のレコーダーだとすぐに認識した。スポックは同意するが、レコーダーの被害を見れば分かるように宇宙船が破壊されたはずだと言い足す。スコットがコンピュータにかけようとすると、レコーダーは信号を送信し始める。カーク船長は非常態勢を取り、乗組員が各部署につくように命令した。
第一幕[]
艦内では乗組員が緊急時の部署へ向かっていた。カークとスポックはターボ・リフトに入り、ゲイリー・ミッチェル少佐もドアが閉じないうちにリフトに入ってきた。カークとミッチェルはスポックのチェスの戦術について冗談めかして話し、緊急時でも友情が強いというのは明らかであった。
ブリッジで、スポックがレコーダーの通信を分析する間、ミッチェルは部署についた。銀河系の外縁部に接近すると、カークはエンジン停止を命令する。カーク船長は拾い上げられた目標が200年前のSSヴァリアントより切り離されたレコーダーだと全デッキに発表した。命令通り五人の部長はブリッジに出願し、カーク船長はそれぞれの紹介を受けた。カークがジョーンズと誤って呼びかけるスミスは船長の新しい秘書であった。天体物理学部長のヒカル・スールーと機関部長のスコットは準備できていると報告し、医療部長のマーク・パイパーは乗組員に及ぼす宇宙旅行の長期的な影響を調査するためにアルデバラン・コロニーで乗り組んだ精神科医のエリザベス・デイナー博士を紹介した。スポックはレコーダーから信号を受信できたと発表していた。その間、ミッチェルはデイナー博士といちゃつこうとしたが、デイナーはそれをはねつけた。ミッチェルは「歩く冷蔵ユニットだな」と呟いた。
スポックはSSヴァリアントのメッセジーを次の通りに解釈した。ヴァリアントは磁気嵐のせいで銀河系の外側まで流され、その後乗組員は人間のESP(超感覚能力)を船内コンピューターで調べたようだ。カークはESPに関してディナー博士の意見を求めていたが、質問がESPを持つかどうかということだと誤解してしまった。ディナーは予言能力を持つ人はいるが、限界があるようだと報告した。スポックは深刻な被害を受けたヴァリアントの乗組員の数人が死亡したと説明を続けた。乗組員はESPを研究していたが、最終的に船長が宇宙船の自爆を命じたようである。それはともかく、カーク船長はワープ1で前進することにした。
エンタープライズが銀河の外へ向かっている間、乗組員は不安になっていた。不思議なフィールドに遭遇すると、スポックは探査スキャンを命令した。スミスとミッチェルは宇宙船がフィールドに入ると、互いに慰めあうように手を握っり合っていた。突然稲光のような光がブリッジも全デッキも照らした。艦内に火災が発生し、ブリッジのコンソールは爆発した。ディナー博士もミッチェルも不思議なフィールドに直接に影響を受け、電流によるショックを受けたらしく倒れた。
メイン・パワーがダウンし、乗組員の9名が死亡した。カーク船長がミッチェルを介抱すると、ミッチェルの目玉が不気味に光っていることに気がついた。
第二幕[]
- 『艦長日誌、宇宙暦1312.9。メインエンジンが焼け切れたため、補助エンジンだけで飛行中。ワープ航法は使えなくなってしまった。このため本来ならわずか数日でゆける宇宙基地に、何と何年もかかってしまう。こうなると、ヴァリアントが何に破壊されたかが大きな問題となってくる。我々は、200年前のヴァリアントと同じ状態におかれてしまったのだ。』
ブリッジの修理を監督しながら、カーク船長は死亡・負傷した乗組員の医療記録を科学部署で分析していたスポックに近寄っていた。もっと正確に言えば、スポックはデイナー博士とミッチェルのESPの経歴を調べていた。両者は宇宙艦隊医療部がしていたESP試験の成績がよく、ミッチェルの成績がデイナーのものより少し上回っていた。
ブリッジに戻ってきたデイナーはカーク船長に検死報告を渡した。死体は皆は脳の特殊なところに傷があったと報告した。カークは死亡した全乗組員及びデイナーとミッチェルはESP値が鋭いようだと述べた。スポックはヴァリアントの船長は必死にESPに関する情報をコンピューターの記録で捜していたと言い足していた。デイナーはESPを持つ人を弁護し、その能力は無害だと主張した。
医療室では、ミッチェルは時間を過ごすためにビューワに表示させている何か読み物を読んでいた。カークが入ると、ミッチェルは誰が入ってきたか確認もせずに、カークを名前で挨拶した。カークとミッチェルはアカデミー時代を懐かしく語り合い、二人は何年も前から付き合っていたことを示唆した。ミッチェルは一生のうちで気分がこんなによいことはなく、この読書の機会を得ていると言った。昔のことを語り合いながら、ミッチェルはカークに金髪の実験技術者をけしかけたと漏らした。カークは「彼女は君の罠だったのか!?結婚まで考えていた…」と答えた。
カークはデイナーがしばらく彼の様子を看てくれると述べると、先にディナーと口論したミッチェルは不満そうだった。カークが出かけると、ミッチェルは神のような口調で「俺にはよくしとけって言ったはずだぞ。」と述べた。立ち止まったカークは振り向き、ミッチェルの顔を胡散臭そうにじっと見た。
カークが医療室から出ると、ミッチェルは先程の本を超人的な速度でどんどん早く読み続けた。カークがブリッジに戻ると、スポックがミッチェルの読んでいたビューワを監視しており、異常な早さで読書を続ける彼についてカークに報告した。カークはミッチェルの24時間警備を命じた。そしてカークはミッチェルの様子を見るために科学コンソールへ近寄った。途端にミッチェルはカークが自分を観察しているのを知っていると示すようにカメラの方を向いた。
デイナー博士が医療室に入り、自分とミッチェルの関係は良くないとあっさり認めていた。ミッチェルはデイナーに「歩く冷蔵ユーニット」と呼んだことを謝った。次にデイナーはミッチェルの具合について聞いた。彼は皆が「ミッチェルが熱にかかったと言う」と冗談めかして言うと、念動で生存徴候モニターの数値を変化させた。そして、死亡を示す数値に変化させ、ミッチェルはまるで死亡したかのような状態になった。驚くデイナーに対し、ミッチェルは再び起き上がり、他の速読等の能力についてデイナーに説明し始めた。
デイナー博士はミッチェルの記憶力を試験することにした。記録テープの一つを見せ、387ページに書いてあるものは何かミッチェルに聞いた。一瞬のためらいもなく、ミッチェルは「『我が愛の翼。優雅な曲線を描きか細き先端をもつ愛の翼は我を抱く。』 題は『ナイチンゲール』。作者は、コノパス星のタルボルド。年代は 1996年。」と引用した。そして、ミッチェルはデイナーをしっかりと引き寄せ、気持ちはどうかとデイナーに聞いた。ミッチェルはデイナーが倒れただけだという口実を信じないが、二人の会話はケルソー大尉が決まり悪そうに医療室へ入ってきたことで中断された。ミッチェルは自分の目が光っていることは「美人の先生がいるせい」と冗談を言った。
ケルソーはメイン・エンジンの現状が酷いと述べた。ミッチェルは右舷インパルス動力源の状態を調べるようにケルソーを戒めたが、ケルソーはこの警告を冗談だと思い退けた。ミッチェルは冗談でなく、動力源のスイッチを入れたら、インパルスデッキの全体が爆発してしまうと鋭い口調で答えた。ケルソーが医療室から出たら、ミッチェルはケルソーの心に残っていたインパルス動力源の映像を見ることできたとデイナーに述べた。
ブリーフィングルームでは、ケルソーはミッチェルが焼き切れたインパルス用の回路基板について言い当てたことをカークに報告した。また、スポックはミッチェルの能力についてデイナーに尋ねた。デイナーはミッチェルは自律神経を自由自在に操り、記憶力も常軌を逸していると報告した。また、スコットによると、一時間前にブリッジの制御装置が勝手に動き始めたとのことであった。この現象が起こった時に、監視モニターに表示されていたミッチェルは艦や乗務員をおもちゃにして楽しんでいるようにほくそ笑んでいたとスポックは報告した。会議の終わりで、スポックは被害を修理するためにデルタ・ヴェガへ向かい、その惑星のリチウム分流装置でエンジンを修理することを提案した。そして、ミッチェルを惑星上に置き去りにしようとも提案した。スポックは修理が完了した後にミッチェルを置き去りにするか殺すかどちらかにするべきだと述べたが、カークはそれに対して怒りを顕わにし、それ以上述べることを許さなかった。そして、スポックにデルタ・ヴェガへのコースを取るよう命じた。
第三幕[]
- 『艦長日誌、宇宙暦1313.1。我々は、問題のデルタ・ヴェガ星へ接近した。この惑星は地球より少し小さくて生物は生存しないが、クリスタルおよび鉱物資源に富んでいる。やがてケルソーをリーダーとする修理班がメインエンジンにエネルギーを注入するため出発した。一方私は、15年来の親友を降ろさなければならない。そして無人の星にただ一人、永久に置き去りにするのだ。』
ミッチェルは超能力が進化するにつれ、人類との関係のきずなが弱くなってきたと感じていた。スポックはミッチェルがエンタープライズだけでなく、銀河系全体にとって脅威になると心配していた。自らが神になったと自負したミッチェルは治めること以外人間に興味はないと表明した。スポックは、ヴァリアントの船長も同じ事態に直面し、そして決断をためらった結果がヴァリアントの自爆だったと主張、手遅れにならないうちにミッチェルを殺すべきだと勧めたが、カークは彼を惑星に置き去りにすることに決めた。
第四幕[]
- 『艦長日誌、宇宙暦1313.3。ケルソー大尉をリーダーとする修理班の活躍は目覚ましく、軌道を回るエンタープライズ号のエンジンはほとんどエネルギーの注入を終わって、大多数の者が船へ引き上げていった。しかしミッチェルの体内は刻一刻と変化し、巨大な力を蓄えているようだ。』
リチウム分流工場の中ではミッチェルは超能力を利用してケーブルでケルソーを絞殺し、彼を拘束していたフォース・フィールドを無力化した後、ミッチェルと同じように変化したディナー博士と一緒に地面の丘陵地へ逃げ込んだ。ミッチェルが脅威になったと確信したカークは彼を追跡していた。ミッチェルは地面を歩き回っていたミッチェルに遭遇した。ミッチェルは旧友のカークを新たに獲得した超能力で殺そうとしていた。ミッチェルがもう人間ではなく、どんどん危なくなっていると悟ったデイナーはカークを助けた。ミッチェルは反撃し、デイナーに情け容赦なく致命傷を与えた。ミッチェルがデイナーとの闘いの後に神のような力を手に入れたのにも関わらず、カークはフェイザー・ライフルを使って落石を引き起こし、カークに用意された墓穴にミッチェルを埋めて殺すことができた。
- 『艦長日誌、宇宙暦 1313.8。殉職者を追加。エリザベス・デイナー博士、職務遂行のために生命を捧げる。…さらにゲイリー・ミッチェル少佐、同じく殉職。…公式記録はこうしておきたい。好んでああなったんじゃない。』
またエンタープライズのブリッジでは、スポックが自分が人間のように喜怒哀楽を持っているとカークに認めた。まだ乗組員二人の死亡が生じた事件を反省していたカークは友人のスポックの方に振り向き、「君にも望みが出てきた」と冗談半分に言った。カークは人類にも希望・将来性があるかもしれないことも示唆していたようだ。
記憶に残る言葉[]
"ミスター・スポック、君のチェスはどうも余裕がなくってイライラするねえ。"
"『イライラ』? ああ、そうか。地球人の感情ですね?"
- - 立体チェスのゲーム中のカークとスポック
"大変な間違いだったか? そのうちよかったと思うさ。"
(言語:"(地球人の)汚れた血が混じっていて残念だな。" "Terrible, having bad blood like that.")
- - スポックが地球人のハーフという事実について冗談を言っているカーク
"我が愛の翼。優雅な曲線を描きか細き先端をもつ愛の翼は我を抱く。"
- - フィネアス・タルボルド作の「ナイチンゲール」を暗唱しているミッチェル
"少しは感情をもったらどうだ。相手はミッチェルだぞ。彼は私の親友だ。"
- - ミッチェルをどうするかに巡り、スポックと話し合っているカーク
"みんな虫けらのように踏みつぶしてやる!"
- - 転送室に引っ張られていたミッチェル
"デイナー博士は危険はないと言ってるぞ、どうして専門家が間違ったことを言うんだ。"
"彼女には『感情』があるからですよ、私は理論だけだ。"
- - フェイザーライフルを持っているスポックとカーク
"指揮官に情けは禁物だ。"
"Command and compassion is a fool's mixture."
(吹き替え:"同情したために手遅れになってしまった。")
- - 独房から逃げる前のミッチェル
"…哀れみは、人間の感情だ。神にはない。"
(原語:"道義は人間のことだ。神にはない。" "Morals are for men, not gods.")
- - ミッチェル, カークに
"ごめんなさい。あなたには分らないわ。神に近づいた気持ちが"
(吹き替え:"残念ね。か、神になりかけた気持ちを、教えたかった。あなたに。")
- - ディナーの辞世の言葉
"同感ですね。"
"I felt for him, too."
"君にも望みが出てきた。"
"I believe there's some hope for you after all, Mister Spock."
(吹き替え:"君にも少しは感情が出てきたと見えるな。")
- - スポックとカーク
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