(制作視点での記事)
宇宙指令!首輪じめ | |
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制作順No. | 60346 |
本国初放映 | 1968年1月5日、第45話 |
脚本 | マーガレット・アーメン |
監督 | ジーン・ネルソン |
宇宙暦/西暦 | 3211.7/2268年 |
カーク、ウフーラ、およびチェコフの三名は異星人に捕らえられ、「支配者」の競りの対象として、他種族の戦士との決闘を強要される。
あらすじ[]
※括弧内の宇宙暦は日本語吹替版のもの
アバンタイトル[]
- 「艦長日誌 宇宙暦3211.7(0408.3046) 我々は、無人惑星ガンマ2の自動通信装置と測定ステーションの点検に向かうことになった」
三名の艦隊士官は、スポックに船の指揮を任せ、ブリッジを離れる。彼らは転送室へと入り、チーフ・エンジニアのモンゴメリー・スコットが転送シークエンスを開始するのを待つが、その時突如謎の消失を遂げ、気が付いたときには、何処とも知れぬ惑星の闘技場のような場所に倒れこんでいた。立ち上がって空を見上げたカークは、この星には三つの太陽があることを知る。一方エンタープライズのスコットは、三名の不可解な消失をスポックに報告。その理由は全く不明であった。
三人は船との連絡を試みるが、通信機は役に立たない。その時、武器を持った四人の異星人の戦士が彼らに襲い掛かる。カーク達はフェイザー銃を構え、発射しようとするが、これも通信機同様、作動しなかった。やむを得ず素手での闘いに挑むカーク達だが、数においても力においても劣勢であり、押さえ込まれてしまったカークの喉元に敵の刃が突きつけられる。
第一部[]
- 「艦長日誌 宇宙暦3211.8(0408.3046) 惑星ガンマ2の装備点検のために転送されようとした時、転送作用に何らかの異常が生じ、謎の惑星に降り立った。そしてそこで、宇宙各地から集まったと思われる動物達に囲まれて、闘いを挑まれたのだ」
カーク達の前に黒尽くめの男が現れる。彼は、艦隊士官達の勇気を讃え、自ら惑星トリスケリオンのスロール頭を務めるガルトと名乗った。 三人は、地下室の壁に拘束され、金属製の首輪を取り付けられてしまう。ガルトは、彼らが収容されたのは「支配者」の意志であること、また、かれらはスロールとしてトレーニングを受け、支配者のために死ぬまで闘わされることを告げる。
一方、エンタープライズのスコットは、船を隅々まで点検し、異常は何もないことを確認する。スポックはガンマIIの惑星表面を二度にわたりスキャンするが、生命体の反応は得られなかった。ドクター・マッコイは、カーク達の行方の手がかりを掴めずにいるスポックに対し、もどかしさを募らせる。
トリスケリオンで、カーク達は彼らのために用意された独房へと連行された。それぞれの独房の鉄格子には、彼らの名前が書かれた札が掛けられていた。看守のスロールを殴り倒し、脱走を試みるカークだが、ガルトの目が光を放つと同時に、三人の首輪が締まり始め、彼らは床にのたうち回る。脱走が不可能であることを悟らされた三人は、やむを得ず独房へと収監される。
スポックは、カーク達はこの太陽系内にはいないという結論に達する。スポックの捜索が依然として進展しないことに対し、マッコイは文句を浴びせる。
独房の中で、チェコフはエンタープライズが自分達を探してるだろうと言うが、彼ら自身、現在の場所がわからない。その時、ウフーラの独房に世話係のラーズと名乗る男が食事を持って入ってくる。次にカークの耳に聞こえてきたのは、二人が激しく争う音、そして、ウフーラの悲鳴だった。どうすることも出来ないカークのところに、女性のスロールが食事を持って現れた。
第二部[]
為す術もなく、ラーズがウフーラの独房から出るのを鉄格子の間から見つめるカーク。ラーズはウフーラに、自分のために選ばれたスロールを拒否することは許されないという。
- 「艦長日誌 宇宙暦3259.2(0408.3046) 副長スポックが指揮を執る。船長、ウフーラ中尉、チェコフ少尉の三名が行方不明になって既に二時間が経った。データ不足のため、コンピュータで可能性を予測することもできない」
チェコフのもとに、大柄なスロールの女性が訪れる。自分のために選ばれたのかとチェコフが聞くと、彼女は違うと言う。タムーンと名乗る彼女は、もしチェコフが支配者に気に入られれば、自分たち二人はお互い相手に選ばれるかもしれないと言った。
カークに宛がわれたスロールは、名をシャーナと言った。今カークが摂っている食事は滋養物と呼ばれるものだと彼女は説明した。シャーナの説明によると、首輪の色は、どの支配者に属するのかを見分けるものであり、カーク達も支配者に買われれば首輪に色が付くと言う。カークは、かつて地球にも奴隷という似たような制度があったことを教える。ガルトがどうやって首輪を操作しているのか、カークは問い質そうとするが、それを言うことは許されていないとシャーナは答える。カークが、君のような綺麗な飼育係が付くのは有難いというと、シャーナは、綺麗という言葉の意味が理解できない様子だった。カークは、トレイの蓋に彼女の姿を映して見せ、これがそういうことだと説明する。彼女の親についてカークが尋ねると、シャーナは、自分を生んだ人はフリースタイルの戦闘で死んだと言った。そのとき、トレーニングの開始時間を知らせるシグナルが響き、シャーナはカークにトレーニング用のベルトを渡した。
マッコイとスコットは、スポックがエンタープライズを見当違いの方向へ向けているのではないかと危惧していた。スポックによると、イオン航跡を辿って彼らが向かっているのは現在位置から11.63光年先のM24アルファ星系だという。
カーク達三人は、最初に降り立った闘技場でスロール達との戦闘訓練を強制されていた。そこへガルトが、一人のスロールを連れて来た。素早く命令に従わなかったため、訓練の標的にするとのことだった。拒否するウフーラを罰しようとするガルト。だがカークは、部下の責任は自分の責任だと言い、代わりに自分が罰を受けることを申し出る。
第三部[]
- 「艦長日誌補足 宇宙暦不明。我々は依然として惑星トリスケリオンにおいて捕虜になっている。その位置も支配者も全て不明だが、危険な惑星であることだけは明らかである」
カークは罰として、両手を縛られ、闘技場でクルーグと呼ばれるスロールに鞭で打たれていた。やがて休憩時間となり、シャーナはカークに体力回復のための飲み物を与え、クルーグは左目が悪いので左側から接近するようアドバイスする。戦闘が再開され、カークは両手を拘束していた紐をどうにか緩め、クルーグを倒すことに成功する。その時、頭上より支配者1の「待て」という声が響き、競りの手始めとして、カークに300カトルーの値を付けると宣言し、支配者2および支配者3が更に高値でその後に続いた。競りは最終的に支配者1の2000カトルーで決着がつくが、カークが自分達は自由であり誰にも属さないと主張すると、支配者たちは、カークを飼い馴らすことができるかどうかで賭けを始めた。
ガルトの目が光を放ち、カーク達の首輪の印が、支配者1の所有物であることを示す赤に変わった。所属が明らかになった以上、抵抗に対しては死をもって罰せられることがあるとガルトは警告する。
エンタープライズ船内で、スコットは、カーク達がこんなに遠くまで飛ばされてきたとは信じられず、三人が消えた付近を捜索した方がいいのではとスポックに進言する。しかしスポックは元の場所で既に二度も捜索を行っていた。マッコイは、これだけ時間が経っている以上、三人は生きていないのではないかという疑いを抱き始める。
カークとシャーナは、ランニングの途中、荒れ果てた廃墟のような場所で休息を取る。カークは、支配者たちはなぜ他の者が争い合うのを見たがるのか、彼らはコンピュータなのではとシャーナに訊くが、シャーナは詳しいことは何も知らなかった。この場所が地球に似ているとカークが言っても、シャーナには惑星も恒星も未知の概念だった。カークは、ここは暗黒の惑星だと言い、シャーナに自由意志や愛の必要性を説く。シャーナは、ここでそういう事を言ってはいけないと恐れを抱くが、既にカークへの感情を抑えることは出来なくなっていた。そこへ突如ガルトが現れ、罰は与えないので部屋へ戻れと命令する。支配者たちはカークの行動に興味があるというのがその理由であった。
第四部[]
船の速度を上げられないかと聞くスポックに、マッコイとスコットはあてのない捜索だと反論するが、スポックは、あらゆる事象がカーク達がM-24アルファ星にいることを示していると二人を説得する。そして、もしそこでも見つからなかった場合は、再びガンマIIに戻って捜索を続けることを了承した。
カークの独房で、シャーナは依然困惑していた。カークはシャーナを気絶させ、ウフーラ及びチェコフと共に独房を抜け出すが、闘技場でガルトに見つかってしまう。
エンタープライズは惑星トリスケリオンに到着。スキャンの結果、惑星表面の一箇所に少数の人間と見られる生命反応が得られる。スポックがマッコイを連れて上陸しようとしたとき、船のシステムが突如停止し、上陸は不可能だという支配者1の声がブリッジ内に響く。支配者の声は闘技場のカーク達にも聞こえており、カークの声もまた船内に届いていた。
カークは船内のクルーに現状を説明する。支配者は自分らを恐れているため姿を現さないのだとカークは言い、反論する支配者に対し、姿を見せるよう要求する。次の瞬間、洞穴のような場所へ瞬間移動させられカークが見たものは、カプセルに収められた三つの脳であり、それが支配者の正体であった。
支配者たちは、もとは人間としての肉体を持っていたが、何百万年もかけて現在のような姿に進化し、他の種族を奴隷として戦わせることにのみ楽しみを見出しているという。カークは、支配者たちに対して賭けを提案する。スロールと戦い、もしカークが勝てばエンタープライズと全てのスロールを解放し、負けた場合は惑星に残り支配者たちの命令に従うというのがその条件だった。支配者側は、カークが一人で三人のスロールを相手にするという条件を出してきた。
カークは闘技場へと戻され、決闘が開始された。決闘の相手はラーズ、クルーグ及び一名のアンドリア人であった。激しい戦いの末にカークが三人を倒すのを見たガルトは、シャーナをカークと戦わせる。が、シャーナは押さえ込まれてしまい、降伏せざるを得なかった。
カークの勝利を認めた支配者は、首輪による束縛を解き、スロール達を文明人として教育することを約束した。シャーナは、カーク達について行きたいと申し出るが、カークは、シャーナ達には星を出る前に学ぶことが沢山あると言い残し、惑星を去る。
空を見つめるシャーナは、カークの言うことを決して忘れまいと誓うのだった。
会話ピックアップ[]
「ミスター・スポック! 船長と、ウフーラ中尉と、チェコフ少尉が消えました。三人とも転送台の上に立ったと思ったら、急にいなくなったんです」
「いなくなったというのは、転送装置の作用で予定通りに転送されたのとは違うということを意味するのかね?」
「当たり前でしょう? 予定通りの転送だったら何も報告したりはしませんよ」
- - 上陸班の消失を転送室からスポックに報告するスコット
「もちろん、探知機による捜索を続行します。現在はそれしか方法がありません。やがて納得できる説明ができることを望みましょう」
「望む…? 希望は地球人に限られた感情だと思ってたがね」
「その通りです。常に地球人と接触してると、遂にはその感情まで感染してくるようですね」
- - スポックとマッコイ
「確率の予想や理論の遊びはやめて、全力を投入して捜索に専念したまえ、ミスター・スポック!」
「アドバイスがあるならどうぞ、何でも歓迎しますよ。何処を捜せばいいんでしょう?」
「私のアドバイスなど一度も要求したことはないくせに、こんなときにするとは卑怯だぞ」
- - スポックとマッコイ
「カークたちを置いていくのか!? たかが水素の雲に異常が見つかったくらいで、追いかけてどうする? あんな遠い所まで行って、何になるっていうんだ?」
「ドクター、私は船長たちを捜しに行くんです。当てもなく飛行するわけではありません。これだけが手がかりです」
- - スポックとマッコイ
※原語では、「彼らを置き去りにして、野生のガチョウでも追いかけに行く(run off some wild-goose chase = 無駄な追跡)つもりなのか!?」
「ドクター、私が捜しているのは船長たちであって、そのような野生の水棲生物ではありません」
「きっ、君が僕の相手に選ばれたのか?」
「いいえ、あたしはただ世話をするだけよ。滋養物を持ってきてあげたわ。あんたいい名前ね。チークーって」
「チェコフだよ」
「フフン、チークーフー? すごくいい名前じゃない。あたしはタムーンっていうのよ」
「あぁ…はは、どうも…どうぞ、よろしく…あー、…お嬢さん」
「あんた、なかなかいいカッコしてるじゃない。あたし、あんたが気に入っちゃったわ。うんと丁寧に仕込んであげるわ。支配者の気に入られるようにね」
「そ、それはどうもありがとうございます。タムーン様」
「もし支配者の気に入られたら、あたしたちお互いに相手に選ばれるかもしれないわ」
- - チェコフ、訓練係のスロールであるタムーンとの対面で緊張しながら
「これからずっと、君が滋養物をくれるのか?」
「そうよ、私があなたの世話係よ。トレーニングもするの」
「トレーニングか。有難いね。君のような麗しき飼育係は初めてだ」
「それはどういう意味?」
「つまり君は、とても…綺麗だって意味だ」
- - シャーナに色目を使うカーク
「諸君、現在の指揮官は私だ。エンタープライズは現在のコースを維持する。もっとも、諸君が叛乱を企んでいるなら事情は違ってくるが」
「ミスター・スポック…」
「叛乱などと一言も言った覚えはないぞ、この強情っ張り!」
- - スポック、スコット、およびマッコイ
「これで我がロマンスも終わりです」
- - タムーンを縛り付けて脱出するチェコフ
「虎穴(lion's den)に入るつもりなら、医者を連れて行くと万一のときに役に立つぞ」
「聖書のダニエルは一人で入っていきましたが、この場合はドクターを歓迎しましょう」
- - トリスケリオンに転送降下しようとするマッコイとスポック
「これから何が始まるんだ??」
「我々の運命を左右する闘いです」
- - 決闘の開始を見つめるマッコイとスコット
※原語では、"What in the name of heaven is this?"(天国の名にかけて、一体あれは何だ?)
"Heaven's got very little to do with this."(この際、天国は何の助けにもなりませんよ)
背景[]
制作関連[]
- カークと対決するアンドリア人を演じたディック・クロケットは、このエピソードのスタント指導も兼ねている。
- 支配者を演じたロバート・C・ジョンソンは、『スパイ大作戦』のエピソードの最初でIMFのメンバーに指令を与えるテープレコーダーの声を演じており、当時アメリカでは最もよく知られた声であった。『スパイ大作戦』の撮影は、『宇宙大作戦』のスタジオのすぐ隣で行われていて、出演者たちはよくエンタープライズのセットでの撮影を見に来ていたという。なお、ジョンソンは、宇宙大作戦のパイロット版エピソードである『TOS: 歪んだ楽園』にも声の出演として参加している。
- このエピソードの第一稿では、ジョージ・タケイ(ヒカル・スールー)が登場する予定だったが、タケイはその頃、映画『グリーン・ベレー』の撮影でロサンゼルスに戻れなかったため、彼の役はウォルター・ケーニッグ(パヴェル・チェコフ)に割り振られた。
プロップおよび特殊効果[]
トリビア[]
『ザ・シンプソンズ』に、このエピソードをパロディ化した回が存在する。("Deep Space Homer")
リマスター版[]
リマスター版では、ガンマ2号星とトリスケリオンが新しく描かれた。新しい場面が加えられたことにより、惑星トリスケリオンは三連星の太陽を持つ設定が確立された。
前エピソード | 宇宙大作戦 シーズン 2 |
次エピソード |
制作順: TOS: カヌーソ・ノナの魔力 日本放映順: TOS: もう一つの地球 本国放映順: TOS: 新種クアドトリティケール |
制作順: TOS: 復讐!ガス怪獣 日本放映順: TOS: 復讐!ガス怪獣 本国放映順: TOS: 宇宙犯罪シンジケート | |
TOS: 悪魔島から来た狂人 | スタートレック:宇宙大作戦 (デジタル・リマスター版) |
TOS: 華麗なる変身 |